飲食店を開業するには保健所の営業許可を取らなければなりません。では具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか
この記事では保健所に営業許可を申請した際の検査内容から必要書類まで詳しく解説します。
飲食店開業の際の保健所の検査内容
飲食店を開業する際に必要な営業許可を受けるためには、施設基準を満たす必要があります。
施設基準とは共通基準(自動販売機以外の全ての業種に必要な施設基準)と特定基準(業種ごとに定められた基準)の2種類があるのです。
施設基準の詳細については、必ず施設の所在地を所管する保健所に相談するようにしましょう。
保健所の検査内容を8つの観点から説明します。
参考:厚生労働省 保健所管轄区域案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/
床が掃除しやすいか・壁は防火・防水か
床がタイル、コンクリートなどの耐水性材料で排水がよく清掃しやすい構造であること、内壁は床から1メートルまで耐水性で、清掃しやすい構造であることが共通基準で定められています。
厨房は明るく換気が十分か
共通基準で明るさは50ルクス以上、換気は換気扇などでばい煙、蒸気等が排除できるようになっている必要があると決められているのです。
従業員用と顧客用の手洗いが別で消毒器があるか
顧客とは別に従業員専用の流水受槽式手洗い設備と手指の消毒装置が必要と共通基準で定められています。
手洗器外径寸法の目安は36cm(幅)×28cm(奥行)以上で、蛇口は、足踏式、ハンドコック等がよいでしょう。
調理場と客席が分かれているか
飲食店営業の特定基準では調理場と客席を別に設け、客席の明るさは10ルクス以上が望ましいとされています。
食器をしまう戸棚はあるか
共通基準で原材料、食品や器具類等を衛生的に保管できる戸のついた設備が必要であると定められているのです。
冷凍庫に温度計があるか
冷蔵、冷凍、殺菌、加熱、圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計や圧力計、また必要に応じて計量器を設置するよう共通基準で決められています。
窓には害虫・害獣防止用の網戸があるか
共通基準で窓にはねずみや昆虫などの侵入を防ぐため網戸や自動ドアをつけるよう定められているのです。
シンクと給湯器は設置されているか
シンクは2槽以上設けること、また洗浄及び消毒のための給湯設備を設けることが飲食店営業の特定基準で決められているのです。
保健所へ申請する必要書類
保健所に営業許可を申請する際に必要な書類を5つご紹介します。
いずれも施設完成予定日の10日ほど前までに提出するようにしましょう。
営業許可申請書
営業許可の申請のために飲食店の所在地や連絡先などを記載する書類です。
営業許可申請書を提出する前には必ず事前相談を行い、所定の書式、記載方法に従って書類を作成してください。
参考:東京都保険福祉局 営業許可申請書の書き方
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/files/kyoka_tebiki202303.pdf
営業設備の大要
営業許可の申請のために飲食店内に設置する衛生設備の概要を記載した書類です。
書き方について不明な場合は、必ず施設の所在地を所管する保健所に相談するようにしましょう。
参考:東京都保険福祉局 営業設備の大要の書き方
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/files/kyoka_tebiki202303.pd
水質検査成績書
飲食店営業において貯水槽使用水、井戸水を使用する場合は水質検査成績書を施設の所在地を所管する保健所に提出する必要があります。
許可後も年1回以上水質検査を行い、成績書を保管するようにしましょう。
食品衛生責任者の資格を証明するもの
営業許可を申請するには食品衛生責任者の資格を証明できる書類(食品衛生責任者手帳など)を添える必要があります。
申請時までに食品衛生責任者の資格を取っていなかったということのないように注意しましょう。
食品衛生責任者の資格は各都道府県の食品衛生協会が開催する「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。費用はおおむね1万円程度で申込方法や開催スケジュールは各地方自治体によって異なるため、食品衛生協会のホームページより最新情報を確認してみてください。
尚、調理師免許をお持ちの方は食品衛生責任者の資格を有するとみなされます
参考:公益社団法人 日本食品衛生協会「全国の食品衛生協会」
http://www.n-shokuei.jp/outline/sisho.html
許可申請手数料
許可申請手数料は各地方自治体や業種によっても異なるため施設の所在地を所管する保健所に直接問い合わせて確認するのがよいでしょう。
参考:厚生労働省 保健所管轄区域案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/
まとめ
飲食店の開業に必要な保健所の営業許可について説明しましたが、平成30年の食品衛生法改正に伴い、営業許可についても見直しがされました。新たな制度は令和3年6月1日より開始されています。このような法改正に伴う新たな書式での申請書類は、専門の知識を持っていないとなかなか作成するのに手間取る場合があります。
忙しい飲食店開業の準備作業時に二度手間とならないためにも、このような専門性の高いことについては学校やセミナーなどで一度じっくり勉強してから行うのがよいでしょう。
ぜひプロの手を借りて、スムーズに営業許可の申請を行ってみてください。