飲食店を開業したいけれど、良い事業計画があるのに自己資金が貯まらずなかなか踏み込めないと悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
この記事では飲食店で開業資金があまりない場合でも開業できる方法について考えてみました。
飲食店開業にかかる資金の相場は?(お好み焼き屋の場合)
飲食店にかかる開業資金の相場をお好み焼き屋を例として考えてみましょう。
スケルトン物件の開業資金
スケルトン物件とは建物の躯体だけの状態に原状回復した物件、居抜き物件とは内部設備をある程度残した状態の物件のことです。
スケルトン物件での飲食店の開業資金は、店舗の敷金・保証金、内外装工事費、給排水工事費、機械設備費、備品にかかる費用などを含めるとおおまかに500万円~1000万円ほどが相場だと言われています。
居抜き物件の開業資金
居抜き物件での飲食店の開業資金は、スケルトン物件と比較すると内装工事費(契約内容によっては給排水工事費、機械設備費、備品にかかる費用を含む)を7割~8割ほど節約できるため300万円~800万円ほどが相場となるでしょう。
それに加えて家事資金(生活費)や引っ越し費用・給料なども必要になってきます。
飲食店を資金ゼロで開業できるのか?
飲食店の開業資金のうち、自己資金をなるべくゼロに近づけるための方法をご紹介します。
自己資金とは
・預金通帳のお金 ・両親や親族からもらった現金 ・退職金 ・保険の解約返戻金 ・不動産などの資産を売却して得たお金 ・すでに事業に投資したお金 ・現物出資 |
の7つをさしますが、注意が必要なのはすべてが自己資金として認められるわけではないので確認が必要です。
解約返戻金がある保険に加入している場合
解約返戻金とは保険契約者が自ら契約を解約したり、保険会社から契約を解除されたりした場合などに、保険契約者に対して払い戻されるお金のことです。
ただし、掛け捨て型の保険では返戻金はありません。返戻金を低く設定して保険料を安くしている場合も返戻金が少ないケースがあります。
主に終身保険や養老保険についており、長く契約していた保険ほど金額は上がります。
保険で得ていた保障はなくなり、支払った保険料の総額より解約返戻金が多かった場合その差額に対して税金がかかってしまいますが、もし自己資金が少ない場合解約返戻金で資金調達する方法も考えられるでしょう。
家族からの贈与があり、それが確認できる場合
家族や親族から飲食店の開業資金をサポートしてもらうのはよくあることではないでしょうか。
その金額が110万円以下であれば問題ないのですが、それを超えれば、贈与税がかかってきます。利息分は課税されますが、年間利息が110万円超えるという事はまず考えられません。
もし、110万円以上を家族から援助を受けた場合は、税務所の関係から、家族間であっても借用書を作成する必要があります。市販の借用書がありますので、そこに返済条件等を記入して作成しておきましょう。できれば、お金の受け渡しや、返済した金額などは便校の通帳を利用して後から誰が見てもわかるようにしておいた方が良いでしょう。手渡しでは証拠が残らないので、後々トラブルになる恐れがあります。
あと、注意が必要なのは、金融機関から融資を受けたいと考えている場合、このサポートしてもらった金額を自己資金として事業計画書などに記入しがちですが、これはたとえ家族や友人からの援助だとしても借入金とみなされますのでそのように計上しておく必要があります。金融機関は自己資金の出所をよく調べますので注意が必要です。
共同経営による資金調達が可能な場合
飲食店を共同経営することによる資金調達は自己資金としてみなされるため、融資の審査には有利に働きます。
飲食店の開業資金を融資制度で受けるポイント
飲食店の開業資金を金融機関からので融資で調達するポイントについて説明します。
開業資金の10%を用意する
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では創業時において創業資金総額の10%以上の自己資金を保有している方に対して融資を行います。
創業時と創業して2年以内の方が申込可能です。融資限度額が3,000万円(うち運転資金1,500万円)で、無担保無保証人の融資制度であることも大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
詳細は日本政策金融公庫のホームページから確認してみましょう。
参考:日本政策金融公庫「新創業融資制度」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
自己資金と借入額の平均額を知る
日本政策金融公庫が行った「2019年度新規開業実態調査」の結果では資金調達額の平均は自己資金262万円、金融機関等からの借入847万円となっており、自己資金の平均が1992年に441万円だったのと比較するとかなり下がっています。
このことから自己資金のは200万円~300万円ほど準備し、残りを融資等の方法で調達するのが理想的だとわかるでしょう。割合としては20~25%を自己資金、65~70%を融資割合となります。
参考:日本政策金融公庫 2019年度新規開業実態調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_191122_1.pdf
日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金について知る
日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」では創業時に限り、認定支援機関の経営支援を受ける場合に融資が受けられます。
具体的には認定支援機関に所属する中小企業診断士をはじめ、税理士、金融機関、コンサルタントなどの有資格者による指導や助言を受けて開業する方が融資を受けることができるのです。
事業に新規性が求められるため、フランチャイズでの開業は対象外となります。
融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、借入2,000万円までは担保・保証人が不要です。
「新創業融資制度」と比較して金利は約1%安く済むため、詳細は日本政策金融公庫のホームページから確認してみてください。
日本政策金融公庫「中小企業経営力強化資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html
まとめ
飲食店を自己資金ゼロで開業することは難しいですが、物件にかかる費用をできるだけ抑え金融機関からの融資を受ければ自己資金の割合をかなり少なめにすることは可能だとわかりました。
しかし素人にとっては自分の開業したい飲食店で本当はどのくらい自己資金があるのが理想的なのかは、なかなか判断しにくいことではないでしょうか。
このような時は素直に開業のプロが揃う専門の学校の扉を叩き、教えを乞うのが無難です。
ぜひ資金管理に長けた先生と巡り合って、良いアドバイスの下適切な資金調達を行うようにしてください。