飲食店を開業するのが夢で少しずつ自己資金を貯め始めているけれど、必要な運転資金の目安がわからなくてお困りの方はいらっしゃいませんか?
この記事では飲食店の運転資金とは何かから調達方法まで詳しく説明します。
飲食店の運転資金とは?
飲食店を開業するのに必要な運転資金とは、飲食店を日々運営し、続けていくのにかかる資金のことを言います。
運転資金は変動費と固定費の2つに分類されるのでそれぞれ見ていきましょう。
変動費
変動費とは売上高によって日々変動する経費のことを指します。
主な変動費は次の通りです。
・材料費
・水道光熱費
・通信費
・人件費
・販促費
・消耗品費
変動費の中でも大きな割合を占めるのが人件費と材料費であることを頭に入れておきましょう。
固定費
固定費とは売上高の影響を受けず毎月定額の経費を言います。
主な固定費は次の通りです。
・家賃
・交通費
・福利厚生費
・保険
・借入返済費
開業当初は売上の見込みが立ちにくい状況であるため、固定費を抑える必要があるのを覚えておきましょう。
必要な運転資金は6ヶ月分?
飲食店が開業するのに必要な運転資金は6ヶ月分とよく言われますが、なぜなのでしょうか。
日本政策金融公庫が2013年に行った「生活衛生関係営業の景気動向等調査」によると約6割の飲食店が事業を軌道に乗せるまでに半年以上かかったとの結果が出ています。
また開業時に自己資金が不足していたと感じている人も26.8%いたのです。
これらのことから飲食店が開業する時には運転資金を6ヶ月分準備すのが望ましいと言えます。
参考:日本政策金融公庫「創業の手引き+」
運転資金の計算方法
運転資金の計算方法についてもおさらいしておきましょう。
飲食店の1か月の運転資金は前述の1か月の固定費と変動費を合計した数値です。
簡単に言いますと、売上が0でも6ケ月やっていけるだけの資金という事です。
なので飲食店の1か月の運転資金は前述の1か月の固定費と変動費を合計した数値です。
1か月分の固定費(家賃、交通費などの合計)+1か月分の変動費(材料費、水道光熱費などの合計)=1か月の運転資金となるため、これに半年分の6をかけると開業に必要な運転資金を導き出すことができます。材料費は売り上げがないと発生もしませんが、最低限の準備をしておかなければなりません。
飲食店開業の運転資金の調達方法
飲食店開業の運転資金は自己資金だけではなく他の方法でも調達できるのをご存知でしょうか。
主な調達方法を3つご紹介します。
公的融資
公的融資で飲食店開業の運転資金を調達するという方法がありますが、中小企業や新規起業家への創業融資に力を入れているのは日本政策金融公庫です。
融資制度の種類が多く、「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」「新創業融資制度」などさまざまな中から自分に合った融資を検討できます。
創業計画書、事業計画書などを準備して、ひとまず相談に行ってみるのがよいでしょう。
民間金融機関
中小企業が民間金融機関から融資を受ける際にその債務を保証する信用保証協会という公的機関があります。
信用保証協会は47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、地域密着型の保証業務を行っているのです。この信用保証協会に対して金利とは別に保証料を支払うことで、民間金融機関から融資を受ける際に債務を保証してもらえます。
この信用保証協会つき融資は営業許可書の発行を条件に実行されることが多いのと、2か月ほどかかる審査が必要なため、飲食店開業時の初期費用などに充てるのは難しいのですが運転資金には使用しやすいでしょう。
助成金・補助金
もし条件が合うのであれば、国の助成金や補助金を飲食店開業の運転資金に活用するという方法もあります。
役立ちそうな助成金・補助金を2つご紹介します。
・持続化補助金
小規模事業者(資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人)が商工会・商工会議所と一体となって行う販路開拓や生産性向上の取組みを支援する国の補助金です。
補助金額は50万円まで、補助率は2/3です。受給までの流れや必要書類は中小企業庁のホームページをごらんください。
中小企業庁 持続化補助金のページ
・キャリアアップ助成金
非正規雇用者で働く人のキャリアアップに取り組んだ事業主が助成金を受け取れる制度です。具体的には非正規雇用者の正社員化、基本給などの増額といった賃金規定の改定、健康診断制度の設置などに取り組む必要があります。
例えば有期雇用から正社員に転換した場合、従業員1人あたり72万円を受給できます。
受給までの流れや詳細な受給条件は厚生労働省のホームページをごらんください。
厚生労働省 キャリアアップ助成金のページ
まとめ
飲食店開業のための運転資金はお店が軌道に乗るまでの6か月分を準備する必要があるとわかりました。
今まで副業などで少しでもフリーランス経験があるのならともかく、サラリーマンとして仕事をしてきたのであれば独立後のお金の流れについて理解するのはなかなか難しいことと言えるでしょう。
また、借金は怖いと思われる方もいらっしゃると思いますが、借りたお金を使わずに置いておいて、月々の返済に充てて完済すれば金融機関の信用も高まります。二店舗目の出店を考えている方などは銀行とのこういったお付き合いというのも必要になってきます。
そのため独立前にはこのような資金についてのノウハウを開業のプロがいる専門の学校へ行って学んでおくというのも1つの方法です。
ぜひ前向きに知識を取り入れて、運転資金を自分に合った方法で調達してみてください。