飲食店を開業するためには開業届が必要ですが、もしこれを出さない場合どのようなデメリットがあるのでしょうか?
この記事では飲食店の開業届を出さない場合の罰則の有無から多数あるデメリットまで詳しくまとめてみました。
飲食店の開業届を出さないと罰則がある?
飲食店の開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い税務署宛に新しく個人事業を行うことを届け出るための書類を指します。
書式は税務署か、国税庁のホームページからダウンロードして入手しましょう。
自分の住んでいる地域を管轄する税務署は国税庁のホームページから検索できます。
参考:「国税局・税務署を調べる」国税庁
国税局・税務署を調べる|国税庁 (nta.go.jp)
参考:個人事業の開業・廃業届出等手続き
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁 (nta.go.jp)
開業届の出し忘れの罰則は?
飲食店の開業届は原則開業してから1か月以内に提出する必要がありますが、特に罰則,ペナルティーは定められていません。
飲食店の開業届を出さないデメリット
飲食店の開業届を出さないことへの罰則はありませんが、デメリットがあるので5つご紹介します。
青色申告ができない
確定申告には簡易的な「白色申告」と節税効果がある「青色申告」がありますが、飲食店の開業届を出さない場合、この青色申告を行うことができません。
そのため開業届と同時に青色申告をするのに必要な「所得税の青色申告承認申請書」を税務署宛に提出する方が多いのです。
「所得税の青色申告承認申請書」の書式も開業届同様税務署か、国税庁のホームページからダウンロードできます。
青色申告をすると年間収入から経費に加え65万円の控除が受けられる他、赤字が出た場合も3年間に渡って繰り越しができる「損失申告」が可能です。
損失申告をすると年間の赤字を次年度に繰り越して当年度の納税を繰り越せるということです。
青色申告の詳細については国税庁のホームページに記載があるため、飲食店の開業を目指す方は一度目を通しておきましょう。
参考:「所得税の青色申告承認申請手続」国税庁
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁 (nta.go.jp)
参考:「青色申告制度」国税庁
No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)
開業前の費用を経費として計上できない
飲食店を開業するにはそれなりに開業費用がかかりますが、開業届を出さない場合この開業費を経費として計上することができません。
開業前の費用であればどの時期でも計上できるので、開業費を経費としたい場合は開業届を提出するようにしましょう。
開業費は会計上5年で均等償却・税法上は任意償却となっています。
補助金・助成金の申請ができない
補助金の申請には事業を行っていることの証明が必要なので開業届の控えが必要となることが多いです。
事業を開始するには開業届をだして補助金や助成金の申請をすることで資金調達がしやすくなります。
屋号で銀行口座をつくれない
個人事業主における「屋号」というのは法人における会社名にあたり、飲食店や事務所の名前、ペンネームなども含めることができます。
飲食店の開業届を出さない場合、開業届と同時に屋号を登録しないため、銀行口座を屋号で開設することができません。
プライベート用とビジネス用で銀行口座を分けられないため、確定申告の際お金の出入りが把握しにくくなってしまいます。
また屋号登録をしていないと正式な自分の所属を名乗ることができないため、社会的信用もそれなりということになってしまうのです。
脱税と思われる
そもそも開業届を出す要件は「新たに不動産所得・事業所得・山林所得を生じる事業を開始すること」です。
飲食店は店を構えて開店するため、明らかに事業を開始したと見なされます。
つまり多額の初期投資をしてお店を作り、アルバイトを雇用してお店を開始したのに「趣味で飲食店を開業しました」とは言えないということです。
事業を開始したということは税金を支払う義務があるため、開業届を出さずに店舗の営業を続けているのは税務署が悪意のある脱税をしようとしていると見なしても仕方がないと言えるでしょう。
この上もし確定申告をしなかったり、申告漏れがあったりすると延滞税や無申告加算税などの申告漏れによるペナルティーが課されます。
延滞税は年度によって異なりますが、平成30年度は年2.6%が加算されました。
また無申告加算税は、原則として納付する税額に対して50万円までは15%、50万円を超えたら20%の割合を乗じて計算した金額が加算されます。
タイミングによっては失業保険がもらえない
今までの4つは開業届を出さないことによるデメリットでしたが、失業給付の受給を考えている場合は逆に開業届を出すタイミングを見計らった方がよいでしょう。
失業給付を受ける条件の1つとして「本人に再就職する意志と能力があること」というのがあります。
もし開業届を失業給付の受給中に提出すると、再就職する意志はないと見なされるため失業給付は受けられなくなる可能性があるのです。
開業届を出す際に気を付けること
開業届を提出する際にいくつか気を付けないといけないことは
- 原則として事業の開始から1か月以内に税務署に提出しなければならない
- 収入がなくても提出しなければならない
- 開業前に提出することはできない
まとめ
飲食店の開業届を出さないことによる罰則はありませんが、デメリットが大きいため失業給付を受けている場合以外は早めに提出した方がよいことがわかりました。
国税庁のホームページを参考にしたり税務署に積極的に相談したりして、適切な時期に開業届を提出するように心がけましょう。