飲食店を開業する時、大きな壁になるのは初期費用の捻出方法と節約方法ではないでしょうか。
この記事では初期費用を節約するのに役立つ居抜き物件の知識についてまとめてみました。
居抜き物件で開業する際に知っておくこと
最初に飲食店を居抜き物件で開業する際に知っておきたいことを3つご紹介します。
居抜きとスケルトンの違い
居抜き物件とは内部設備をある程度残した状態の物件、スケルトン物件とは建物の躯体だけの状態に原状回復した物件のことです。
居抜き物件は内部設備をそのまま流用できるためある程度設備内容に妥協が必要ですが、スケルトン物件では1から全て揃えるため好きな設備を選べるという違いがあります。
居抜き物件で必要な契約
飲食店を居抜き物件で開業する上で必要な契約は店舗資産譲渡契約と賃貸借契約の2つです。
店舗資産譲渡契約とは現在の借主から設備などの資産を買い取るために行う契約で、現在の借主との契約です。
賃貸借契約とは物件を借りる契約のことで家主との契約です。
店舗資産譲渡契約においては設備の譲渡(造作譲渡という)で無償のものと有償のものをはっきりさせ、内見時にあった設備がどのくらい含まれているかを確認しましょう。また、現在の借主が退去の時に持って行くものが内見時に含まれている場合がありますので、その辺りもしっかりと確認します。
一旦店舗資産譲渡契約を交わしたら、その後備品等に瑕疵があっても、以前の持ち主に咳にを負わせることはできません。例えば、クーラーが使えると思って契約したのに故障していて、新しいのを買わなければいけなかったとか、冷蔵庫が使えなかったなどです。
ですので、契約するときにはしっかりと確認して、長年使用されていて、将来的に不安があるのであれば、契約金額の交渉をするなどします。
また賃貸借契約では、内装の解体や撤去には意外と手間と費用がかかるため、自身が退去するときに、物件を元通りにして返す原状回復義務があるかどうかもチェックすることが重要です。
居抜き物件で出店するのに必要な経費は
個人で飲食店を開業する場合、店舗の敷金・保証金、内外装工事費、給排水工事費、機械設備費、備品にかかる費用などを含めると15坪~20坪の広さでおおまかに500万円~1000万円ほどが相場だと言われています。
しかし居抜き物件であればこのうちの内装工事費(契約内容によっては給排水工事費、機械設備費、備品にかかる費用を含む)を7割~8割ほど節約できるため300万円~800万円ほどが相場となるでしょう。
居抜き物件で飲食店を開業するメリットデメリット
次に飲食店を居抜き物件で開業するメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
居抜き物件で飲食店を開業するメリット
飲食店を居抜き物件で開業するメリットは、やはり初期投下資本が抑えられることです。また、自分が開業しようとしている飲食店のコンセプトに近い居抜き物件ほど手直しする部分が少ないので、開業資金が節約できることになります。
店舗資産譲渡契約の設備の譲渡において無償のものが多いかどうかもポイントの1つとなるのでよく確認しておきましょう。
居抜き物件で飲食店を開業するデメリット
飲食店を居抜き物件で開業するデメリットは、レイアウトの変更ができないため自分のイメージに合ったお店にできない可能性があることです。
一部改装する場合は内装工事の施工業者に相談して、どのような内装変更なら可能なのかあらかじめ確認しておくというのもよいでしょう。
居抜き物件で飲食店を開業する際のチェックポイント
居抜き物件で飲食店を開業する際にチェックしておきたいポイントを5つご紹介します。
電気・ガス・水道・排水
電気・ガス・水道・排水などを使用するための配管工事が実は内装工事の中で一番費用がかかるのをご存知でしょうか。
居抜き物件の場合電気やガスの容量、コンセントの位置や配管の新設が必要かどうかなどをあらかじめチェックしておくと余計な費用が発生するのを防ぐことができます。
飲食店の居抜き物件であれば問題ないと思いますが、物販店の居抜きなどの場合はガスや電気の容量が飲食店向けではないときがありますので、メーターの取り換えや容量の増設など、多額の費用がかかりますので要注意です。
厨房機器は使えるか
業務用厨房機器は大きいので手間ですが、1つ1つ使用できるか動作確認をしておくのがよいでしょう。
またリース契約の機器が含まれている場合費用が請求されたり、引き上げられてしまったりする可能性があるため注意が必要です。
内装は問題ないか
店名や看板を変えても前の飲食店のイメージはある程度引き継がれるため、ターゲット顧客が開業したのに気づかない可能性があります。
居抜き物件で内装工事をする際は前のお店との違いをはっきりさせるようにしましょう。
よく屋号や看板や雰囲気などをそのままにしておいた方が以前のお客様が来てくれるのではと思う方がいらっしゃいますが、経営者が変われば以前のお客様はまずいらっしゃいません。まるっきり違うイメージにして、新しいお客様を獲得する手立てを考えた方が良いでしょう。
前のお店が辞めた理由は何か?
前の飲食店の閉店理由がオーナーの個人的な事情であれば問題はないのですが、立地が飲食店にふさわしくない、人通りが少ないなどの理由で止めている場合その居抜き物件で開業するのはおすすめしません。
できれば居抜き物件の持ち主である大家さんや不動産屋さんではなく、近隣住民の方や一般の方から情報収集できるよう努力してみましょう。
譲渡の価格は適正か
造作譲渡には有償と無償の両方の場合があると説明しましたが、有償の場合提示された譲渡金額が適正であるかどうか内装工事業者などの専門家に判断してもらうのも大切なことです。
設備機器が正常に稼働するかどうかはもちろん、不要なものは含まれていないかなども確認しておきましょう。
まとめ
飲食店を開業する時、開業資金を抑えるために居抜き物件を検討するのはよくあることでしょう。
しかし物件について正確な判断をするには、それなりの知識や経験が必要だということもおわかりいただけたのではないでしょうか。
自分の理想とするお店を作るためにも、このような専門知識は一度しっかりと学校に行って身に着けることをおすすめします。
さまざまな物件を自分自身の力で検討できるようになるまで学び、よりお客様が喜んでくれるお店を開業してください。