あまり規模が大きすぎない小さな飲食店を経営して成功に結び付けたいけれど、どのようなことを意識して始めればよいのかわからないという人も多いでしょう。
この記事では小さな飲食店を成功させるコツについて詳しく解説します。
小さな飲食店とは
小さな飲食店とは、一般的には座席数が20席以下で10坪~15坪(33.06m2~49.59m2)程度のお店のことです。
10坪以下の場合は、レストランとしての営業許可が取得できない場合があります。
また席数は5〜20席程度で、お客様との距離が近く、アットホームな雰囲気があり、オーナーが中心となり、ファミリーで経営している場合が多いのも特徴で従業員数は、オーナーを含めて数名〜10名程度です。
小さな飲食店はこだわりのある一品メニューを数種類取り揃えていることが多く、メニュー数は20品目以下の場合が多いです。
また、ランチタイムとディナータイムがありますが、営業時間が短いところや定休日も設けている場合も多いです。
どのような規模の飲食店でも開業時にある程度の開業資金が必要なのは同じですが、小さな飲食店の場合これを節約できるのでお店を成功させやすいと言えます。
小さい飲食店の開業にかかる費用の内訳は概ね以下の通りです。
飲食店の開業費用の大まかな内訳は次の通りです。
①物件取得費
・購入費用:物件の購入価格(保証金、礼金、仲介手数料、譲渡代金(居抜き物件の場合)、前家賃)
・引越費用:引っ越し作業にかかる費用。
・入居手数料:入居する際に貸主から支払う手数料
・契約書代行費用:契約書作成に必要な代行費用
・弁護士費用:物件取得に関連する法律上の問題に対する弁護士の費用
などの合計金額を指します。
②内装費
・床材費:床の材料費用
・壁紙費:壁に貼る壁紙の費用
・塗装費:壁や天井などの塗装費用
・照明費:照明器具の費用
・設備費:設備の購入費用
・収納費:収納用品の費用
・水道・ガス・電気費:内装改装作業にかかる水道・ガス・電気費。
などのための費用です。
③外装費
・屋根費:屋根の改装や交換にかかる費用
・壁面費:壁面の改装や塗装にかかる費用
・窓・ドア費:窓やドアの改装や交換にかかる費用
・外構費:外構工事にかかる費用
・屋外照明費:屋外の照明器具の費用
などの費用を指します。
④設備費
・電気設備費:照明器具、電気製品などの電気設備の費用
・冷暖房設備費:エアコン、加湿器などの冷暖房設備の費用
・店舗用家具費:カウンター、棚、テーブルなどの店舗用家具の費用
・店舗用機器費:レジ、冷蔵庫、調理機器などの店舗用機器の費用
・音響設備費:音響システム、スピーカーなどの音響設備の費用
・情報設備費:パソコン、プリンター、タブレットなどの情報設備の費用
店舗で使用する空調・給湯・厨房・給排水などの設備にかかる費用です。
⑤諸経費
備品や消耗品、什器にかかる費用、広告宣伝費などを指します。
物件取得費、内装費、外装費はお店の規模に比例して大きくなるので、小さな飲食店ほど費用は抑えられ、設備費は大きな飲食店の場合業務用の設備が必要ですが、小さな飲食店の場合家庭用の設備を使用できるためこちらも節約が可能です。
小さな飲食店を経営して成功したいなら、まずは開業資金を多めに調達し、節約しながら効果的に使うのが大切です。
加えて運転資金(開業後半年程度の固定費、生活費など)も必要になると思います。
資金についての内容についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
小さな飲食店の強みとは
小さな会社のためのマーケティングの教科書とも呼ばれている、静岡県立大学の岩崎邦彦教授が著した「小が大を超えるマーケティングの法則」では小さい店の強みを以下の10個と位置付けています。
・個性
・サービス
・独自性
・小回り
・専門性
・こだわり
・親しみやすさ
・融通
・地域密着
・接客
この10個の言葉に当てはめて自分の店の強みとは何かを考えると、他店との差別化が図れるため小さな飲食店でも成功しやすくなるでしょう。
参考:日本経済新聞出版「小が大を超えるマーケティングの法則」
小さな飲食店を成功させるには?
小さな飲食店を成功させるコツを8つご紹介します。
①メニュー単価を考える
メニュー単価を考える際は外食における1人当たりの平均利用金額を知り、そこから自分の飲食店の客単価を導き出し、メニュー単価を決めていくという流れの方が顧客のニーズに合ったメニュー単価となるでしょう。
味の素KK業務用商品サイトには業態別の1人あたり客単価が掲載されており、例えば居酒屋では¥3,390、カフェでは¥1,073となっています。
この客単価を参考に自分の飲食店を開業したいエリアの競合店の客単価も調べてみることが大切です。
これらの客単価を参考にしながらメニュー単価を仮に設定し、自分の飲食店のターゲット層における客単価とメニュー単価の合計金額がかけ離れていないかを検討しましょう。
そして最後にコストパフォーマンスの面からも再検討し、最終的なメニュー単価を設定するのが望ましいと言えます。
小さな飲食店を成功させるためには、収支のバランスを考えてターゲット顧客に受け入れられるメニュー単価とすることが重要です。
参考:味の素KK業務用商品サイト「業態別客単価と求める料理」
②固定費を抑える
飲食店を開業するには、日々お店を運営し続けていくのにかかる運転資金が必要ですが、固定費と変動費の2種類に分類されます。
固定費とは毎月の売上高の影響を受けない定額の経費のことで、主なものは次の通りです。
・家賃
・交通費
・福利厚生費
・保険
・借入返済費
正社員を雇用しなければ交通費や福利厚生費は抑えられますし、家賃も最初に物件を精査すれば節約できます。
小さな飲食店を成功させるには、開業直後に固定費を抑え、運転資金を節約することが重要です。
③立地を考える
近年飲食店では隠れ家的な立地のあまり良くないお店の成功事例も増加してきているため、どのようなお店でも立地に関係なく集客できると勘違いしがちです。
しかしそのようなお店は「隠れ家」というコンセプトに合った条件の立地に出店していて、それがターゲット顧客のニーズと合致したため成功したということなので、やはり顧客のニーズに合った立地を考えて出店しなければならないことには変わりがありません。
小さな飲食店ほどしっかりとリサーチを行いターゲット顧客の求める場所に出店すれば、その分成功しやすくなります。
飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」のアンケートによると運営中の店舗の立地について「不満足」、「やや不満足」と回答した人に対し、不満足の理由を聞いたところ(複数回答可)、「通行量が少ない(59.8%)」と出ています。
やはり立地場所は出店時に熟考する項目と言えるでしょう。
④コンセプトをしっかりと立てる
小さな飲食店の場合、独自性や専門性が売りになるため最初にコンセプトをきっちりと決めておくことが大切です。
同じ種類の飲食店が集まっているエリアでは、お店のコンセプトが明確であれば、他店と差別化することができます。独自のメニューやサービス、雰囲気など、コンセプトを明確にすることで、お客様に印象づけることができます。
また、コンセプトが明確であれば、どのようなお客様に向けて提供するか、どのようなニーズに応えるかを明確にすることができます。例えば、地元の食材を活かしたメニューや、特定の食材にこだわったメニューなど、お客様のニーズに応えるメニューを提供することができます。
コンセプトが明確であれば、マーケティングの効果も高まります。SNSや口コミなどで、お店のコンセプトが共有されることで、新しいお客様を集めることができます。
コンセプトにぶれが出ると、顧客も何を売りたいお店なのか理解することができなくなり、常連客ほど早く離れていってしまいます。
このようなことを防ぐ上でも最初にコンセプトを定め、方針をぶらさずに営業していく姿勢が大切です。
また集客もとても大事なポイントになります。集客についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
⑤優れたサービスを提供する
小さな飲食店だからこそ可能なので、きめ細やかなサービスです。フレンドリーで親切なサービスを提供することで顧客満足度を高めることができるので、積極的に行っていきましょう。
他店に差をつけるサービス内容を考えですアイデアも必要となります。
⑥品質の良いメニュー
固定費を抑えられた分、いい食材や地産地消にこだわった食材などを使って自店でしか出させない味を出していくことも必要となるでしょう。地域の農家やお店などと連携を取っていくことも宣伝になるかもしれません。
小さな飲食店で品質の高いメニューを提供することは、多くのメリットがあります。以下にその理由をいくつか挙げてみます。
1.お客様のリピート率が高まる
品質の高いメニューを提供することで、お客様からの信頼を得ることができます。リピート率が高まることで、集客効果があります。また、お客様の口コミによって新しいお客様を獲得することもできます。
2.競合店との差別化ができる
同じ種類の飲食店が集まっているエリアでは、他店との差別化が重要です。品質の高いメニューを提供することで、お客様に印象づけることができます。また、価格競争に巻き込まれることも少なくなります。
3.スタッフのモチベーションアップにつながる
品質の高いメニューを提供することで、スタッフ自身も自信を持ってサービスを提供することができます。また、スタッフが誇りを持って働くことができるため、モチベーションアップにもつながります。
4.メニュー価格を高めに設定することができる
品質の高いメニューを提供することで、メニュー価格を高めに設定することができます。価格競争に巻き込まれることが少なくなるため、より収益性の高い経営ができるようになります。
以上のように、小さな飲食店で品質の高いメニューを提供することは、お客様の信頼を得ることや差別化につながるため、非常に重要です。また、スタッフのモチベーションアップにも繋がりますので、経営的にも有効な手段と言えます。
➆広告・マーケティングに力を入れる
口コミだけではなかなか伸びない集客もSNSなどを使って宣伝することも必要です。来店客にSNSにアップしてもらうなどしてお店の情報をアピールするチャンスを作りましょう。
小さな飲食店でSNSを使った集客に力を入れることは、以下のような理由から非常に重要です。
1.SNSはリアルタイムな情報発信が可能
SNSはリアルタイムな情報発信が可能であり、店舗の最新情報やお得な情報を瞬時に配信することができます。また、店舗の新商品や期間限定メニューなど、タイムリーな情報を発信することで、お客様に興味を持ってもらうことができます。
2.SNSは共感を呼びやすい
SNSは、お客様とのコミュニケーションが可能なため、共感を呼びやすいメディアと言えます。お客様の声やフィードバックを受け取ることができ、その声をもとにサービスの改善や、お客様にとって価値のある情報発信を行うことができます。
3.SNSは広告費が抑えられる
SNSは、無料でアカウントを作成し、情報発信を行うことができます。また、有料の広告を利用する場合でも、従来の広告媒体と比較して広告費が抑えられることが多いです。
4.SNSは口コミ効果が高い
SNSは、お客様の口コミ効果が非常に高いメディアです。SNS上での拡散により、多くの人々に店舗の存在を知ってもらうことができます。また、お客様からのコメントやシェアが多いと、信頼度が高まり、新規のお客様を呼び込むことができます。
⑧清潔で利便性のあるお店作り
清潔で見やすい店内環境を維持することで、顧客に信頼感を与えることができるので、常に清掃を心がけることも必要です。また、駐車場やトイレの設置、外観や店内装いの見やすさなど、顧客が気楽に利用できるような利便性を備えることも重要です。
まとめ
小さな飲食店は開業費用を抑えて出店できるのでそれだけ成功するのには有利だと言えますが、メニュー単価の決め方やコンセプトに工夫を凝らし、運転資金を節約しながら少しずつ顧客を増やしていくことが重要だとわかりました。
お店の経営をするのは初めてという人も、最初は小さな飲食店の経営から挑戦して、ぜひ成功をつかんでみてください。
若竹学園では90%以上の方が未経験からスタートされています。
お好み焼きやたこ焼き作りの基本やポイントをしっかり学んでいただくことでプロの味を再現できるようになります。
また経営の知識として目標売上の設定、利益の見込み、売上アップの方法などを学ぶ講義も行います。
さらに開業サポートとして食材・道具・鉄板やお店の設計や設備までアドバイスさせていただきますので、開業への一歩を踏み出すことができるでしょう。