お好み焼きが好きなので、自分のお店を開業しようと思っているけれど本当に儲かるのか気になるという方はいらっしゃいませんか?
JNet21(中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイト)の市場調査データ「お好み焼き店」によるとお好み焼き店を「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で53%、男性50%、女性54%と2人に一人がお好み焼き店を利用していることがわかります。
参考サイト:JNet21 市場調査データ「お好み焼き店」
庶民的で親しみやすいお好み焼き店を開業するためにこの記事ではお好み焼きの原価から儲けるためのコツまで詳しく解説します。
お好み焼きの原価はどのくらい?
最初にお好み焼きの材料費、販売価格から原価率を導き出してみましょう。
お好み焼きの材料と価格
お好み焼きは焼きそばやたこ焼きなどに比べると具材が多いのが特徴と言えます。
主な材料はお好み焼き粉・キャベツ・豚バラ肉(豚玉の場合)・紅ショウガ・青のり・かつおぶし・天かす・卵・出汁・油・ソース・マヨネーズといったところでしょうか。
ここから考えられる1人前の材料費は110円~120円ほどです。
ただし最近は卵・お好み焼き粉・豚バラ肉などが値上げ傾向にあるためこの材料費は変動する可能性が高いことも覚えておきましょう。
お好み焼きの販売価格(種類や平均価格)
お好み焼きの販売価格はトッピングによって幅があります。イートインタイプのお好み焼き店では600円~900円程度が平均的と言われています。
お好み焼きの原価率は
お好み焼きの原価率は14%~18%と言われています。
お好み焼きの材料費を110円、販売価格を600円として計算すると原価率は18%ほどになります。
小麦粉とかキャベツが大半だから原価が安いので、もんじゃ焼きはもっと低いとさえ言われています。
飲食店全体の原価率の目安が30%程度と言われているため、お好み焼きは原価率が低いと言えるでしょう。
原価からみてお好み焼き屋の経営は儲かる?
次に計算した原価を基にお好み焼き屋が儲かるかどうかをシミュレーションしてみましょう。
月の売り上げ想定
1か月の予想売上高を次の数値を使用して試算します。
イートインタイプのお店で15坪の広さと想定すると
・客単価1,100円 ・1日の客数30人 ・月間の営業日を25日 |
1か月の予想売上高は1,100円×30人×25日=82.5万円です。
客単価はテイクアウト中心であればもっと低くなりますがここではイートインとテイクアウトを併設した店舗とします。
月の経費想定
1か月のお好み焼き店の運営にかかる経費を次の数値を使用して試算します。
・家賃15万円 ・材料費21.5万円(原価率26%として試算) ・人件費23.1万円(売上の28%として試算)※経営者の分も含む ・水道光熱費4.9万円(売上の6%として試算) ・減価償却費3.3万円(売上の4%として試算) ・諸経費4.1万円(売上の5%として試算) |
1か月の予想経費は71.9万円となるので営業利益は10.6万円です。
お好み焼き屋が儲かるには?原価以外のポイント
試算結果を見てもう少しお好み焼き屋で儲かる方法はないかと頭をひねった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その思いつきは大いに歓迎されることで、お好み焼き屋は確かに原価が低い業態ではありますがそれに甘んじていては実は儲けることが難しい時代になっているのです。
帝国データバンクの調査結果では、2020年上半期(1月~6月)の飲食店の倒産(負債1000万円以上)は過去最多の398件となりました。
この事実を踏まえてお好み焼き屋で儲けるためのポイントを原価の低さ以外にも考えてみましょう。
メニュー
メニューはターゲット顧客のニーズを踏まえて構築することが大切ですが、イートインでは回転率があまりよくないため客単価を上げるのを目的としたメニューを含めておくという方法もあります。
例えば原価率の低いアルコールやソフトドリンクを充実させたり、鉄板で焼いて食べられるボリュームが少なめのサイドメニューを提供したりといったことです。
他にも以下のような工夫が考えられます。
メニューの多様化
お好み焼きの種類やトッピングを増やし、客層の幅を広げることができます。例えば、具材を変えたり、ソースを変えたりすることで、新しい味わいを提供することができます。
例えば
・トッピングやソースにバリエーションを出す:トッピングにチーズ・野菜・卵・肉などを加えたり、ピリ辛ソース・甘いソース・ガーリックソースなどお客様に選択の幅をもってもらうことでリピート率を上げることが出来ます
・健康志向メニュー:米粉をつかったグルテンフリーのお好み焼きやベジタリアンやヴィーガン向けの野菜や豆腐などで作るメニューを取り入れることで顧客の幅を広げることができます
・地域の特産品を使ったメニュー:地域の特産をつかった限定メニューをだせば地元の人や観光客の集客につながります
・サイドメニューの充実:他の粉ものメニューやサラダ・デザートなどを加えて食事をバランスよく楽しみたい方にアピールできます
・食べ放題メニューやセットメニュー:家族やグループ向けの食べ放題メニューやセットメニューで満足感やお得感を提供することでリピーターにつながります
・テイクアウトやデリバリー:テイクアウトやデリバリーに対応することで新しい顧客を取り込むことができます
メニューの価格設定
価格を適正に設定し、顧客にとってコストパフォーマンスの高い料理を提供することが大切です。高すぎず、安すぎず、バランスの良い価格設定をすることで、顧客に長く愛されるお店になります。
メニューの季節性
季節の変化に合わせてメニューを変えることで、顧客の関心を引きつけることができます。例えば、夏にはスタミナたっぷりのお好み焼きや、秋には秋の味覚を取り入れたメニューなど、季節感を出すことが大切です。
メニューの見せ方
料理の見せ方にも工夫を凝らすことで、お客様の目を引くことができます。例えば、トッピングを豪華に見せたり、盛り付けの美しさにこだわることで、お客様により美味しそうに見えるように演出することができます。
定番の人気商品ばかりに偏らず自分のお店でしか食べられないメニューを作って他のお店との差別化を図ることができれば、それ目当てのターゲット顧客も集客できるためなおよいでしょう。
お店の雰囲気やコンセプト
お好み焼き屋では油を使用し、においも洋服に付着しやすいため女性客を取り込みにくいのですが、清潔で女性にとって居心地のよいレイアウトや雰囲気作りをするだけでも来店数は変わってきます。
またお好み焼き屋には、独自のコンセプトを持つお店が増えています。例えば、ハワイアンスタイル、和モダン、カフェ風など、お好み焼き屋のイメージを明確にして、お客様に印象づけることができます。このようなコンセプトを持ったお店は、地域や客層に根付きやすく、差別化も図れるため、優位性が生まれます。
さらにお好み焼きをヘルシーに仕上げたり、地元食材にこだわったりするなど、コンセプトに合ったメニュー開発も必要です。また、オリジナルメニューを用意することで、お客様に新しい味わいを提供することができます。
女性がSNSでお店の良い評判を拡散したり、口コミサイトで美味しいと評価してくれたりすることは長い目で見ると広告費の節約につながるのです。
2019年の店舗集客型デジタル広告市場は昨対比約2倍の405億円に、2024年には2019年比約6.4倍の2,586億円に到達予測とされているようにSNSでの集客がポイントなります。
参考:調査のチカラ 「店舗集客型デジタル広告(O2O広告)」の市場規模調査を実施
コンセプトから全て女性向けにする必要はありませんが、女性が居心地の良いお店というのは誰にでも好まれるケースが多いようです。女性の家族との食事や気軽なデートに使ってもらえるようなお店作りを心がけてみるとよいでしょう。
人材育成
飲食店ではどのお店でも人材不足に悩んでいます。
しかしお好み焼き屋に興味を持って、将来独立したいという思いで働いてみたいという人に、1からしっかりと教える気持ちがあれば離職にはつながりにくくなるのではないでしょうか。
お好み焼き屋の人材育成で大事なことは以下の通りです。
技術の習得 お好み焼き屋で働くスタッフには、お好み焼きをはじめとするメニューの作り方や調理法などの技術を習得させることが必要です。これにより、お客様に美味しいお好み焼きを提供することができます。
また以下のようなことも人材育成において重要です。
・ホスピタリティの向上
お好み焼き屋で働くスタッフには、お客様に対して心のこもった接客を提供することが求められます。そのために、笑顔や挨拶などの基本的なマナーを身に付けることはもちろん、お客様とのコミュニケーションを円滑に行うスキルも重要です。
・衛生管理の徹底
お好み焼き屋で働くスタッフには、食品の安全管理や衛生管理に関する知識を習得させることが必要です。これにより、お客様に安心して食事を楽しんでいただくことができます。
・チームワークの醸成
お好み焼き屋は、スタッフ全員が協力してお客様にサービスを提供することが必要です。そのために、チームワークを醸成することが重要です。スタッフ同士が信頼関係を築き、お互いにフォローしあえるようにすることで、スムーズな業務遂行が可能になります。
・教育・研修の充実
お好み焼き屋で働くスタッフには、教育や研修を充実させることが必要です。例えば、新商品の説明や、お客様からのクレーム対応などについて、徹底的にトレーニングすることで、スタッフのスキルアップやモチベーションの向上が期待できます。
お好み焼き屋で一緒に働く楽しさを伝え続ければ、熟練したスタッフが長く働いてくれることにつながり余計な求人費用もかけずに済むでしょう。
小さな飲食店の集客のコツとしてこちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
お好み焼きの原価率は飲食店全体の原価率からすると低めのため、儲かりやすい業態であることがわかりました。
しかし実際にお好み焼き屋で儲けるためには、もっとさまざまなノウハウを自分の中に取り入れて実行する必要があります。
そのためにも一度専門の学校で経営について学んでから開業するというのが結局は早道と言えるのではないでしょうか。
お客様に喜んでもらえるお好み焼き屋を開業するためにも、ぜひプロの知識を積極的に借りてみてください。
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